2007年3月27日火曜日

人生(マネー)の修業には、まずバルザックを読むこと



この三日、バルザックの『従兄ポンス』と付き合っていた。最近目が薄くなり速読が出来ないので精読。恥ずかしながら未見の本だったが、すごく楽しめたと同時に、とても参考になった。もっと前に読んでおけばよかった。

鹿島茂編『バルザック「人間喜劇」セレクション』からの一冊:
従兄ポンス—収集家の悲劇
従兄ポンス—収集家の悲劇オノレ・ド・バルザック Honor´e De Balzac 柏木 隆雄

藤原書店 1999-09
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非常に中身が濃い。普通の小説だったら10冊分ぐらいの中身(ネタ)がある。美術品のコレクションの詳細テクニック、ブルジョワ金儲け風俗から、娘の持参金の相場と決め方、芸術家「業界」の内輪の事情、遺産相続をめぐるカラクリと弁護士を使ってのケンカのやり方、葬式業界のボリ方などなど、現代日本においてもとても勉強になる(日本の法制度は、ボアソナートの影響でフランスからの直輸入の法律が多いから)。たくさんの登場人物がでてくるが、ごく普通の善人も自分のささやかな野心がからむととんでもない悪党に変身する。戦いのすべを知らないナイーブな人間は、まるで赤子の手を捻るがごとく、ごく合法的にむしり取られてしまう。こりゃ『ナニワの金融道』の19世紀フランス版だ。

この本に出てくる唯一の善人は、ポンスの親友で音楽家のドイツ人だ。天使のように純粋で、ナイーブ。おかげで惨めなことになるのだが、経済主義が風靡する19世紀のフランス人にとってドイツ人とは、純粋でナイーブ、子供のような純粋の心を持った人間であると認識されていることが興味深い。現代のニッポン人も、国際社会から同じような目でみられているのかも知れない。(最近のBBSの調査では日本人とカナダ人が世界で一番憎まれていないとのこと。無害で御しやすいとみられているのであれば、あまり喜んでばかりはおられない)

日本人はもっとバルザックを読んで、みんなすれっからしになろう。

PS)お金の額が重要な意味を持つので、下記の換算表でもって現在日本円に換算しながら読むこと。でないとわからない。
  1. 1フラン  = 1000円
  2. 1エキュ  = 3000円
  3. 1ルイ    = 2万円
  4. 1スー    = 50円

蛇足)消費者が自分の利害を把握できず、松岡利勝「光熱水費」農水相なんかの農村利権集団にいいように牛耳られておるようでは、国際社会から馬鹿にされるわな〜。

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